ドアを開けた瞬間、
ふわっと炭火の香りが漂ってきた。
パチパチとはぜる音と、
どこか懐かしい70年代の歌謡曲。

指宿の片隅にある、小さな焼き鳥屋『つかさ』。
ここには、特別なサービスも、華やかな演出もない。
でも、今日も誰かが、ふらりと足を運んでくれる。

ぼくは、変わらない日常の中で、
今日も炭をおこし、一本一本、串を打つ。
そんな何でもない時間のなかに、
大事なものが詰まっているような気がする。

なぜ人は『つかさ』にハマるのか。
そんなことを、ふと思いながら——
今日も、炭に火を入れる。

なぜ人は『つかさ』にハマるのか?指宿の炭火と70年代歌謡曲の夜

 

カウンターに座ったのは、最近引っ越してきたご夫婦。
旦那さんがビールを飲み干して、ふと笑った。

「僕ね、この店にどんどんハマってきてるんですよ。だって、美味しいんだもん。」

にっこり笑って、続けた。

「昔っから焼き鳥屋が好きでね。あの香りと、あの音と、…この感じが、やっぱり好きなんだよな。」

その一言に、胸の奥がじんわりあったかくなった。

——ああ、わかる。
ぼくもこの香りと音が好きだ。
そして、この何でもない一瞬が、
店を続けてきてよかったと思わせてくれる。

この店には、特別なサービスなんてない。
最新の設備もない。
SNS映えするようなオシャレな内装もない。

あるのは、ただ、炭火と、焼き鳥と、70年代の歌謡曲。
それだけだ。

だけど、この“だけ”が、
もしかしたら今の時代には、とても貴重なのかもしれない。

70年代の歌謡曲が流れると、
ぼくらの世代は自然と昔を思い出す。

「あー、この曲、懐かしいなぁ。」
「なんだったっけこれ…あー、そうそう!」

そんな声が、カウンターのあちこちから聞こえてくる。

でも不思議なことに、若い子たちも、
よく知らないはずの曲に体を揺らしていたりする。

「この曲、知ってるの?」と聞くと、

「いや、よく知らないけど、なんか、聞いたことがあるような、ないような」

そんなふうに笑いながら。

時代を超えて、
音楽も、炭火も、焼き鳥も、
人の心をあたたかくする力があるんだと、思う。

焼き鳥を焼きながら、思うことがある。

一本一本、串を打つたびに、
「うまく焼けますように」って小さな願いを込めている。

誰にだって、うまい焼き鳥を食べてほしい。
ただそれだけの想いで、
毎日、毎日、同じことを繰り返している。

だけど、その繰り返しの中に、
たまらなくうれしい瞬間がある。

焼き上がった串を、お客さんがうれしそうに頬張る顔。
カウンターで誰かがふと笑い出す瞬間。
知らない者同士が、70年代の歌で盛り上がる夜。

どれも、金じゃ買えない宝物だ。

「また来たくなる店には、理由がある。」

うまいから?
居心地がいいから?
それもある。絶対に必要なことだ。

でも本当は、
店の空気そのものに、自分の居場所を見つけたとき、
人は「また来たい」と思うんだろう。

炭火の香り。
やさしいメロディ。
一本一本、丁寧に焼かれた焼き鳥。
そして、ここで交わされる、たわいない会話。

その全部が、
「今日も、まあまあいい日だったな」って思える理由になる。

ぼくは、そんな場所を、これからも作り続けたい。

特別なことはできないけど、
今日も、明日も、
静かに火をおこし、串を打ち、
一本一本、丁寧に焼いていく。

そして、また誰かが、
ふとビール片手に、にっこり笑いながらこう言ってくれたらいい。

「最近、あの店にハマってきてるんだよね。」

——なぜ人は『つかさ』にハマるのか。
答えは、炭火と、70年代歌謡曲と、そして一本の焼き鳥にある。

——今日も今日とて、やきとりです。

いつもありがとうございます。

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