炭火の前で串を返していたら、チュルが冷たいビールを片手にぼそっと言った。
「AIってすごいっすね。写真一枚でキャラ作れるんですよ」
そこから話は毛量と武勇伝にまで飛び火していった。
チュル「オヤジもAIでキャラ作ったって言ってませんでした?」
オヤジ「ああ、やったやった。びっくりしたぞ。毛量までリアルに再現されとった。『どっからどう見てもオレじゃん』ってな」
チュル「毛量まで!?」
オヤジ「ま、まじかよーって声出たわ。あれな、鏡より現実突きつけてくるぞ。まるでゲームの主人公を外から眺めるみたいな感覚だった」
チュル「へぇ〜、AIってそんな使い方もあるんすね」
オヤジ「でな、人間って自分のこと、わかってるようでわかってねぇんだよ」
チュル「たとえば?」
オヤジ「同級生にいるんだよ。頭のてっぺんハゲてるのにロン毛。後ろから見るとスカスカ、前から見るとフサフサ。もう別人や」
チュル「いるいる、そういう人!しかもそういう人ほど『オレはハゲてねぇ』って言い張るんすよね」
オヤジ「そうそう。それで人に『ハゲー!』って言うんだ。こっちは心で『お前がカッパだけどね』って突っ込むしかないわ」
チュル「アハハ!たしかに」
オヤジ「さらにだ、『うちの家系にはハゲはおらん』って胸張るヤツもいる。心の声はひとつだな。『じゃあお前がハゲの始まりだね』」
チュル「辛辣〜!」
オヤジ「けどな、毛量だけじゃねぇ。似たようなもんが“昔は暴れだった”自慢だ」
チュル「あー、それもいますね。同窓会とかでよく聞くやつ」
オヤジ「『オレ昔は暴れだったんだよ』って言うんだけどな、目の前の本人はすっかり塩たれてる。ジョッキ持つ手も細くて、ただの酒癖の悪いオッサンだ」
チュル「あはは!結局ギャップが暴れてるんすね」
オヤジ「そういうこと。毛量の話と同じでよ、今を認めきれねぇから過去にしがみつくんだ」
チュル「なるほどなぁ。じゃあAIのキャラってのは、自分の“今”を突きつけてくれる鏡みたいなもんすね」
オヤジ「そうそう。毛量も、暴れ話も、現実を見ないと滑稽になるだけだ。けど笑い飛ばして受け入れられるなら、むしろカッコいい」
チュル「オヤジ、意外と哲学的ですね」
オヤジ「当たり前だろ。炭火は奥が深いんだ。……で、チュル、毛量は大丈夫か?」
チュル「やめてくださいよ、オヤジ!」
毛量も武勇伝も、結局は“今の自分”をどう受け入れるかの話だ。
AIのキャラが教えてくれるのは、誤魔化すより笑うほうが人生は楽しいということ。
今日も今日とて、やきとりです。